スパイス戦争 大航海時代の冒険者たち

ジャイルズ・ミルトン著 松浦伶訳

2000年12月刊 46判 368頁 朝日新聞社 2,800円 品切れ

『スパイス戦争』 (原題はNathaniel's Nutmeg)は、主にいまのインドネシア、バンダ諸島でのイングランドとオランダ間の香辛料ナツメグをめぐる争奪戦を生き生きと描いたノンフィクション作品である。内容は読みやすいものなので、解説ではこの時代の歴史的背景などを述べておき、最後に著者紹介に併せて本書についての私の寸感を加えておく。
 ナツメグはクローブ(丁字、または丁香)、コショウ(胡椒)とならんでヨーロッパ人にとってなじみの深い香辛料である。これらはルネサンス以来いずれもヨーロッパ上流階級で用いられていたが、コショウの産地が各所にあったのに比べ、クロープはモルッカ諸島、ナツメグがバンダ諸島に産地が局限されていたためそれだけ希少価値が高かった。ヨーロッパ人にとってこれらの香辛料は薬品でもあったがそれ以上に防腐剤であり、なかでもナツメグはその独特の芳香ゆえ、たとえまずくとも腐りかけた肉を食べねばならぬ西洋人にはまさに喉から手が出るほど欲しいものであった。「スパイス戦争」勃発の素地はここにある。
(本書 「解説」 松園伸 より)

 


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