フィリピンの歴史・文化・社会 単一にして多様な国家
デイビット・J・スタインバーグ著 掘芳枝、石井正子、辰巳頼子訳
2000年12月刊 46判 432頁 明石書店 4,500円

 本書は、前半(第1章から第6章)で歴史の時間軸に沿いつつフィリピン社会の基底にある文化、地理、民族、宗教の多様性を説明し、後半(第7章から第10章)では民主主義と経済発展の問題を軸に、マルコスからエストラダ政権までを考察している。前半でフィリピンの特徴を明らかにした上で、後半では民主主義と経済発展という普遍的なテーマに沿ってフィリピン社会を分析するという構成も、フィリピンを総合的に理解する上でわかりやすい。フィリピンとの対話を長年続けてきたスタインバーグ教授は、フィリピンの伝統や東南アジア共通の民族や文化の「多様性」を所与とした、フィリピンなりの発展の方法を模索しているようにも思われる。
「訳者あとがき」より

【目次】
日本語版への序文 003
築4版へのまえがき 009
交通規則
 親族とその他の関係/社会的価値/東洋の美しい真珠/自然の脅威/自然環境/水田稲作/砂糖、麻ココナッツ/土地所有権と農村の富の分配/その他の作物と資源/マニラ
単一にして多様な人々
 複合社会/低地民と山地民/移民/中国人/メスティーソ/フイリピノ(フィリピン人)という新しい概念/ 〈イルストラド)エリート/教育の役割
フィリピン国民としての過去を求めて
 スペイン時代/19世紀/〈イルストラド)のナショナリズム/闘争の十年間/〈イルストラド)−アメリカ人協力関係/歴史の曖昧性/アメリカ時代の空白−日本占領期
宗教的衝動  グローバルな伝統とローカルな伝統
 スペインの教会/フィリピン独立教会/植民地支配の移行期におけるロ−マカトリック教会/ローカルな伝統/イスラーム/今日の宗教
対日協力と戦後復興
 第二次世界大戦が残したトラウマ/旧い秩序
マルコス時代
 マルコスについて/大統領としての任務/戒厳令/共産主義者の反乱/経済成長と後退/新旧の登場人物たち/病弊と衰微
アキノ時代
 出帆/政治化した軍隊と軍事化した政党/繁栄と安定/ナショナリズムの復活/民主主義の結論/変化と停滞
ラモス大統領時代  信頼、慎み、成功
 ラモス大統領/1995年選挙/経済発展/国家安定/ポスト新植民地時代の現実/ゲームの終わリ
エストラダという異端
 ホセ・エヘルシト・エストラダ/新体制/安定と不安定/結論
訳者あとがき
参考文献
索 引

 

 

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